パレットのラップの巻き方を解説致します。
簡単なように思えるパレットのラップ巻きですが、注意しないと時間経過でラップが剥がれてしまったり、強度が弱くて貨物倒壊の原因になります。
以下の点を本記事で解説致します。
- ストレッチフィルムについて
- パレットの巻き方の手順
- 巻き方のポイント-剥がれないラップの巻き方
- パレットラップ巻きのよくある質問
- ラップを切った時に切断面が分からなくなる→解決方法
- ラップ巻き時の注意事項
なぜパレットにラップを巻くのか
貨物の積み付けが終わったパレットにラップを巻くのは、倒壊防止と汚れや粉じん付着の防止の目的があります。
ストレッチフィルムとは
ストレッチフィルム
上記の画像がストレッチフィルムです。ストレッチフィルムには製品ごとに厚みの違いがあり、最適な厚みのフィルムを使用する必要があります。正式名称はストレッチフィルムですが、現場では多くの場合【ラップ】【ラップ巻き】という言い方をします。
ストレッチフィルム用エンドキャップ
これはラップ用のキャップです。これをラップの両端に付ければスムーズにラップが巻けます。同時に手の保護にもなります。ラップキャップ及び手袋をしていない状態でラップを巻くと摩擦で手を傷つけてしまいます。キャップか手袋どちらかで必ず手を保護してください。
パレットのラップの巻き方
パレットのラップの巻き方を流れに沿って解説致します。
1.ラップの先端を細くする
こうして先端を細くして、貨物と貨物の間に差し込みやすくします。
2.貨物と貨物の間にラップの先端を差し込む
最下段の貨物と2段目の貨物の間にラップの先端を挟みます。こうする事で起点が出来るので、誰かに持ってもらわなくても巻くことができます。
画像のように潰して細くした先端を貨物と貨物の間に挟みます。
3.ラップを巻き始める、カットする
先ほど差し込んだ起点からラップを巻いていきます。適切な巻く回数は貨物によって異なりますが、最低でも2回は同じ場所を巻いて強度を持たせてください。
また、ある程度引っ張って巻くとより強度が出ます。
巻き終わり上段まで来たら、最上段の貨物の角でラップを切ります。角を利用して切ればラップを持ち替える必要がありません。
この時、貨物上部に被せるようにラップを切ると後で剥がれる事がありません。これは非常に重要なポイントで、パレットのラップ巻きは時間が経つごとに剥がれてしまうというケースが多々あります。これを防ぐ為に必ず時間が経っても剥がれない事を意識してラップ巻きをしてください。
パレットのラップ巻き 失敗ケース
以下が時間経過と共にラップが剥がれてしまった状態です。
ラップが剥がれてしまった状態
上部に被せるようにラップを切ればこうなる事はありません。
こうして剥がれてしまうとフォークリフトでの積み付けの際、他のパレットに引っ張られて更に剥がれてしまうなどの弊害を生みます。厳しい現場では巻き直しの対象となりますのでこうならないように注意してください。
剥がれてしまった状態のラップを元に戻す
ラップが剥がれてしまったら上部のラップと貨物の間に先端を挟んで落ちないようにしてください。
この状態であればいくら時間が経ってもラップが剥がれる事はありません。巻いたラップが剥がれてしまったら必ずこの状態にしてください。
パレットのラップ巻き よくある質問
何周巻けば良いですか?→ラップ巻き強度の確認方法
パレットを巻く回数は貨物の倒壊しやすさによって変わります。安定感がないものほど多く巻いてください。
例えば1個5キロ以下の段ボールであれば1段に付き2~3周巻けばほぼ倒壊する事はありません。
しかし、紙袋などの不安定な貨物などはその倍ほど巻かなければ時間と共に崩れてきます。
ラップの強度の確認は、巻き終わった後の貨物を押す事で判断できます。軽く押すだけで貨物が動いてしまうようなら、巻く回数が足らないと言えます。上から2段目あたりを押してみて動かないかチェックしてみてください。
ラップが切れてしまう
巻いている途中、ラップが変な切れ方をしてしまう時は指の位置に注意してください。
巻いている途中のラップに指が当たるとそこから切れてしまいます。こうなってしまうと元に戻すのに非常に時間が掛かるので注意してください。
また、貨物に対して常に平行にラップを持ってください。傾けながら巻こうとすると、これでも切れてしまいます。
巻き始める時、貨物が重すぎて下段にラップを挟めません。
貨物が重すぎてラップが挟めない時は、一番上部の貨物と2段目の貨物に挟んでください。上から下に巻いていき、下まで巻いたらまた上に巻いていってください。
パレットまで巻く時と巻かない時の違いは?
パレット部分までラップを巻く場合があります。これには以下のような理由があります。
- 貨物全体の重量が軽いのでパレットまで巻かないとフォークリフト作業の時、貨物が動いてしまう
- 汚れ粉じん、湿気防止のため
- 紙袋など特殊形状の貨物なので、より強度を持たせたい
こういった理由がある場合、パレット部分まで巻く事を推奨します。
切った時に切断面が分からなくなる
切った時に切断面が分からなくなり、探すのに時間が掛かってしまう。初心者ではありがちなこの状態ですが、切る寸前に張力を持たせて、引っ張りながら切ると切断面が分からなくなる事が無くなります。
ラップを巻く時の注意点
ラップを巻くときは必ず周りにフォークリフトがいないか注意しながら巻いてください。ラップ巻き作業は屈んだときにパレットに体が隠れるのでフォークリフトの死角になります。巻く事だけに集中しないで必ず安全確認をしながら作業してください。
まとめ
ラップ巻きは倉庫作業の基本ですが、フォークリフトでの積み付けから出庫時まで影響範囲が非常に広く重要な作業です。上記のポイントを押さえて安全第一に作業をお願い致します。